第1章 ~ATOBE KEIGO~
生徒会室、俺は開かれたドアに目を向けると眉を寄せた
「…ノックぐらいしろ」
「ええやん。跡部しかおらんって分かっとったし」
忍足は閉められたドアを内側から手の甲でノックする
「で?何の用だ」
「いや?ただ苛めっ子の顔を拝みに来ただけ♪」
ニッコリと微笑む忍足に俺はますます眉を深く寄せる
「…イジメてねぇ」
「でも無視しとるやん」
「無視もしてねぇ」
「あれで?世間ではあれを無視と言うんやけどな」
「…お前には関係ねぇよ」
「関係ないコトあらへん。跡部がピリピリしとるせいで部の雰囲気はガタ落ちや。
…なぁ、何でちゃん無視するん?そんなんやったらちゃん誰かに盗られてまうよ?あの子むっちゃ可愛いてかなりモテんねから」
「…………」
「なぁ跡部…」
黙っている俺に忍足は小さくため息をつくと、顔を覗きこんでくる
「跡部には跡部の考えがあるかは知らんけど…ちゃん悲しませるんだけは許さへん…どんな理由があってもな」
「忍足…お前どこまで勘付いてやがる」
「さぁ…どないやろ」
「…喰えねえヤツ」
俺は息を付くと、背もたれに項垂れ手の甲で瞳を覆った