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氷帝恋物語★テニスの王子様

第1章 ~ATOBE KEIGO~


朝練が終わった後、私は先に部室を出た景吾を追いかける


「景吾っ!!」


「…何だ」


そう答えつつも景吾は歩みを止めない
その態度に臆しそうになりなる


「待って、話があるの」


「忙しい 後にしろ」


「後にって…そうやっていつもはぐらかすじゃない」


「…………」


「ねぇ待って!!!」


その問いにすら応えない景吾の腕を掴むと、漸く足を止めた景吾がこちらを振り向く


「少しでいいから…」


私は息を付くと景吾を見据えた


「どうして無視するの?どうして何も言ってくれないの?どうして…笑ってくれないの…?」


答えを待つも、景吾は黙ったままで


(ジローちゃんはああ言ってくれたけど…)


抑揚のない瞳は私を見ていない


(もう…ムリなのかな…)


「景吾…私と話したくないならそれでもいい。私と関わりたくないならそれでもいい…でもね…」


ギュっと掌を握り締めると重たい頭を上げた


「………嫌いにならないで」


「っ………!?」


「お願いだから嫌いにだけはならないでっ!!!!」


喉の奥が熱くなり声が震える
泣きそうになるのを堪える為、私は俯き目を硬く閉じた


景吾は俯くに手を伸ばそうとする


そんな時、階段から聞こえてくる声
景吾はピクッと体を震わせると、伸ばした手を引っ込める
そして黙ったまま踵を返した


遠ざかっていく足には唇を噛みしめる


「っ…………好き……」


聞こえるコトのない告白
私は遠ざかる景吾の背中をただ見つめるしかなかった

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