第1章 ~ATOBE KEIGO~
その後、の手当てを済ませ自宅へと送った俺は帰路へ着く中、窓の外を仰いでいた
あんなに弱いは初めてだった
今にも崩れてしまいそうで
それもこれも…
俺は眉を寄せると目を細めた
以前からが隠しているのは気が付いていた
だから密かにの周りの人物を調べたりもしていた
だが、アイツが何も言わない以上、俺は手出し出来ねぇ
それにアイツはそんなにヤワじゃねぇ。本人も気にしていないと…
そう思っていた
そんなコトあるはずねぇ
は女だ。いくら勝気だからってそんなコトされて大丈夫な筈がねぇ
(なのに俺は……)
「…景吾坊っちゃん」
聞こえてきた声にハッとすると、ミカエルが心配そうにこちらを見ている
「ああ…着いたのか」
ドアを開け、降りる寸前に足を止める
「心配すんな…」
それだけ言うと俺は車を降りていった
次の日、朝練に行くとの姿はそこにあった
「景吾!!」
その姿はいつも通りで
「景吾…昨日はごめんね。あの…」
「ああ」
景吾はそれだけ言うと、の隣を通り過ぎる
「お前らチンタラ練習してんじゃねぇ!!もっと気合いれろ!!」
「景吾…?」
には景吾の違和感が拭えなかった
それから、が景吾に話し掛けても素っ気ない返事がくるだけで、景吾から話し掛けられることは無くなった