第1章 ~ATOBE KEIGO~
「手、ヤケドしたのか!?」
の姿に目を見開いた俺はの手を取ろうとするも振り払われる
「おいどうした!?何があった!?」
声を荒げる俺の問いに答えるコト無く、は頭を左右に振った
「黙ってちゃ分かんねぇだろうが!?一体どうしたって…」
そこまで言うと、俺は口を噤んだ
それはの瞳から涙が流れたから
今までせき止めていたモノが一気に溢れたように、次々に涙を流す
「ごめ……け…ご……ごめんな…さ…」
いてもたっても居られず、俺は跪くとを抱きしめた
「どうした…泣いてちゃ分からねぇだろ…」
今度は優しく、諭すように訊ねる
俺らしくねぇ
だが、そう言わなきゃいけねぇ気がした
の涙なんて…見たことなかった俺はどうしたらいいか分からなかった
「…泣きやめ…」
泣き続けるの背中を摩りながら、ふと握り締められた手を見つめる
やはり赤くなっている
酷くはなさそうだが早く手当しねぇと…
そんな時、手の隙間から何か覗いているのが見える
俺は体を離すと、の手の中から取り上げた
「やっ…!!ダメッ!?」
の制止も意味なく、それは景吾の手中に渡った
「これは…」
焼け焦げて、煤で真っ黒になっているが、それは紛れもなく自分があげたモノ
微かに見えるピンク色は元々ウサギだった跡形もなく、辛うじて知ってる自分達だから判るモノだった
は俺からソレを奪い取ると、涙を溜めながら薄く笑った
「ごめんね景吾…こんなんなっちゃった…景吾にだけは……見られたくなかった……」
そう言ってまたポロポロと涙を流すに、俺は言葉を失った