第1章 ~ATOBE KEIGO~
そんな頃、景吾は電話をしていた
「チッ、何ででねぇ…」
に何度も繰り返し掛けているが、コール音が鳴るだけで一向に出ない
(何か…あったのか?)
景吾はの親から、まだが帰ってこないとの連絡を受け、学園へと引き返していた
「様…大丈夫でしょうか」
ミカエルが眉をハの字に下げ呟く
景吾は未だ出ない携帯を切ると、黙ったまま窓の外を仰いだ
学園へ着くと、すぐさま車を降りる
「何かあったら連絡する。ミカエルは待機してろ」
それだけ言うと俺は足早に学園内へと入っていった
携帯を忘れたと言って別れてからかなりの時間が経っているから学園内にいるかも分からない
だが、なんとなく此処な気がした
校舎はもう閉錠していて入れない
俺は校庭、テニスコート、中庭とあらゆる場所を探して回った
(ったく…ドコにいやがる)
ここまでアナログに動くなんて久しぶりだ
俺らしくねぇ
何だかアイツといると、俺じゃなくなる気がする
(文字通り…振り回されてるな)
そんなコトを思いながら裏庭を回ると、俺は小さく息を付いた
「おい…こんな時間まで何をやってる」
焼却炉の前で頭を埋めるように膝を抱える
「聞こえねぇのか?また寝てたんじゃ…」
近寄り次第にハッキリしてくるの姿に眉をひそめる
砂で汚れた膝
煤で真っ黒の手
指の先は少し赤くなっているようにも見える
「…お前…」
そっと肩に手を触れると、ビクッと体を震わせ顔が上げられる
「……!?」
の顔は目が真っ赤に腫れ、頬には涙の筋が幾つも出来ていた