第1章 ~ATOBE KEIGO~
「うわ最悪…」
普通言う?そういうこと…って、普通じゃなかった
跡部景吾に普通は通用しない
段々とイライラが増して行く
「ねぇマジ!?跡部とチューしたの!?」
「してないから」
「何だよ信じたのに…マジでビビった」
「宍戸さん良かったですね!!」
「いや、俺は別に…」
「あっヤベッ!もう部員並んでんぞ!?」
「マジ~?行かなきゃだC~」
「仕方ねぇ…今回は許してやるよ。お前らさっさと用意して行くぞ!」
「………!」
その言葉に私の頭の中にプツンと切れた音がした
皆慌てて部室を出ていき、景吾が最後の一人の私を見やる
「どうした?お前もさっさと行け」
その言葉に入口に向かうも、私は足を止める
「…忘れてた」
「あ?何がだ」
私は景吾に近づくと、胸ぐらを掴む
「キングにキスしとかないと…」
そう言って強引に引き寄せると唇を重ねた
「っ………!?」
背伸びしながら景吾の首に腕を回す
何度も繰り返すうちに景吾の手が腰に触れる
それをきっかけに私は唇を離し、それを制した
私は景吾を見つめると、黙ったまま部室を出て行った
怒りに任せてついやってしまった
でも…あの驚いた顔…
"勝気だな"
自分でもそう思う…
やったらことを少し後悔しつつも、あの表情を見れたことで私の怒りは収まっていった
「アイツ…マジでやりやがった…」
景吾は手の甲を唇に当てると、掠れた声で呟いた
その後…
「宍戸…今日のフォームは一段といいじゃねぇの。褒めてやるぜ…アッハッハッハ………!!!!!!!!!!」
「………?」
何故か今日一日、跡部の機嫌がすこぶる良かった(宍戸談)