第1章 ~ATOBE KEIGO~
「よーし、せーので一本だけ取れよ?印の付いてるヤツが王様だ。せーの…やりぃ♪俺が王様だ!!」
「岳人しくんでへん?」
「ねーよ!じゃあ…5番が3番のヤツを膝枕だ!!」
「5番…だと?」
私はその奇妙な光景に目を丸くする
景吾の膝の上には…
「どうだ樺地、いい寝心地だろうが」
「…ウス」
「一生の思い出になるだろう?」
「…ウス」
皆声を殺して笑っている
中には携帯で写メを撮る人も…
(確かに…これは貴重かも)
その後も何度か続けるが、私は当たることなく回避していた
「当たらねーな」
「ねー?」
私は嬉しそうに返事を返しながら割り箸を引く。そんな姿を景吾が見ていたのも知らずに…
「おい、次の命令で最後だ」
「あ?何でだよ」
「俺がつまらなくなるからだ。でないと全部キング引いちまうぞ?」
景吾の手には印の付いた割り箸
「跡部…まさかお前…」
「ああ。どれがどの箸か覚えちまったからな」
「すげー!!!跡部カッチョE~♪」
「うっわマジかよ!ならこれが最後な。跡部命令は?」
「そうだな…おいそこの2番、キングにキスしろ」
私は冷えた目を細め割り箸を見つめる
手には2の数字が書かれた割り箸…
(おいそこのって…名指しと変わらないじゃない)
「おい2番、早くしろ」
「その言い方辞めて!!」
「えっ?2番って!?」
「うわ…分かった上でその命令って…跡部さんいくらなんでも…」
「ほら、さっさとやれ。言い忘れてたが、ちゃんと口にしろよ?」
「口って…出来るわけないじゃない!!!」
「あ?キングの命令は絶対だ。部活の時間が迫ってんだ。早くしろよ」
この人は…
私が困るのを見て楽しんでるんだ
(あ、何か段々腹立ってきた…)
「跡部S丸出しやな…アカンて。いくらキングでもキスとか…」
「アーン?初めてでもねぇんだから平気だろう」
「あ…」
その言葉に一同が静まり返る
そして一気に騒ぎ立てた