第1章 ~ATOBE KEIGO~
朝からシトシトと雨が降っている
おかげで部活は休み。だが委員会があった為、終わった頃には空は暗くなりかけていた
(あ…雨止んでる。今のうちに帰らないと…)
近道にと校舎の脇を通り過ぎようとした時、バシャンと水が叩きつけられる音が聞こえた
「な…に…?」
その瞬間、自分の体はグッショリと濡れていて、咄嗟に上を見上げる
窓へと引っ込むバケツ
遠ざかるクスクスと笑う女の子達の声
(そういうこと…)
私はため息を付くと、スカートを絞った
委員会にいた子達だろうな
もうほとんど校舎には人はいないし、今日は雨だから多少濡れててもおかしくない
珍しく直接来たな…
だからってこれは濡らし過ぎでしょ…
さすがにこのままじゃ帰れない
私は部室へと向かっていった
暗い部室の電気を付ける
今日が休みで本当に良かった
(さすがにこんな姿を見られる訳にはいかないもんね)
私はロッカーからタオルを取り出すと、濡れた体を拭き始めた
(どうしよ…制服はものの見事にずぶ濡れだし…少し寒いかも)
張り付いた制服が気持ち悪い
私は制服を脱ぐと、キレイに水気を取る
「(下着は…何とか無事かな。でも…)どうやって帰ろう」
こんな事ならジャージでも置いておくんだった
頭を悩ませていると、カチャっと奥のドアの開く音が聞こえ、思わず振り返った
「誰かいるのか?」
「け…景吾……!?」
思わぬ人物に心臓がドクリと音を立てた