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氷帝恋物語★テニスの王子様

第1章 ~ATOBE KEIGO~


「これはこれは景吾さん。本日はお招きいただきありがとうございます」


「いえ、父の代理で申し訳ありません」


「お忙しい方ですからな。今はドバイでしたかな」


「ええ。主催側が不在な分、こちらから精一杯おもてなしさせて頂きます」


「いやいや、このパーティーに呼んで頂けるだけで私どもも光栄ですよ」


隣で繰り広げられる口上に大人の対応を見せる跡部くんに感心しつつも、そっと跡部くんの裾を引っ張った


「跡部くん…私向こうに行ってるね?」


「………すぐ戻るから、何か好きなの食ってろ」


邪魔をしちゃいけない気持ちと、落ち着かない雰囲気を悟られたのか、跡部くんは声を潜めると、大人達の中に入っていった


私はボーイさんから貰ったドリンクを飲みながら、隅の方でその光景を眺めていた


テレビや雑誌で見たことがある大企業の代表達が揃って跡部くんに敬語で話している


(跡部財閥ってスゴイんだ…)


臆することなく談笑している跡部くんを見ていると、なんだか別世界に迷い込んだ気がしてくる


社長の中には家族を連れてきている人もいるようで、同い年くらいの女の子達が色めき立っている


「景吾様よ❤いつ見ても素敵ね」


そんな声に辺りを見渡すと、自分より年上の女性さえも頬を染め見惚れている


(…やっぱりモテるのね)


そんな事を思っていると、近くで談笑する声が聞こえた


「景吾さんって来年で高校生になられるんですってね」


「あら、私の娘同い年だわ。どうにかして紹介出来ないかしら」


「許嫁くらいいるんじゃないか?何たって跡部財閥の跡取り息子だぞ」


「そうよねぇ…自分の娘をって考える人なんて、掃いて捨てるほどいるわよねぇ。現に今、景吾さんと話してるのもそうでしょ?」


「それに跡取りに顔を売るチャンスだからな。顔だけでも覚えて貰わないと」


そう話す団体は、連れ立って跡部くんの元へ向かっていった


「…何かヤな感じ」


私はモヤモヤした気分を祓うように勧められたケーキを口に含んだ

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