第1章 ~ATOBE KEIGO~
着くなり私はとてつもなく大きな建物に空いた口が塞がらない
「何これ…お城?」
豪華絢爛な造りの建物はさながら宮殿で、中はもっと凄かった
高そうな装飾品の数々に大勢の使用人、まさに圧巻といったところで
私が惚けていると、コツンと頭を叩かれ意識を戻される
「ほら、ボケッとしてねぇで行くぞ」
「あ、待って!!」
先を歩く跡部くんに追いつくと、私は口を開いた
「何か…スゴイねー」
「別にスゴかねぇだろ」
「スゴイよー。こんなに豪華な家初めて来たもん。皆が跡部様って呼ぶ理由分かる気がする」
「……入れ」
足を止め、開かれた部屋へ入ると、そこには沢山のドレスが並べられていた
「わぁ…」
私はドレスに近寄ると、感嘆の息を漏らした
「すごく綺麗だね。こんなに沢山どうしたの?」
振り返り跡部くんを見ると、いつの間に近づいたのか、目の前に跡部くんの姿
「跡部くん?」
跡部くんは黙ったまま急に私の腰を引き寄せると、空いてる方の手で体のラインをなぞった
「やっ…!?」
「じっとしてろ」
あまりにビックリして動けないでいると、急に体を離される
跡部くんは大量のドレスから何着か集めると、私に手渡してきた
「お前のサイズならこの辺りだろう。好きなのを着ろ」
「ぇ…何で…」
「これからここでパーティーがある。さすがに制服じゃ浮くだろうが」
「だからって何で私が…」
「何で何でってしつけぇな。お前も黙って付いてきたんだ。それも黙って聞きやがれ」
「何それ…」
私は目を丸くしながら思考をフル回転させるも、この人の言ってる意味が全然理解できなかった