• テキストサイズ

T・A・T・O・O ー彫り師ー【気象系BL】

第4章 二つの神に宿さるる生命


「これ…、もしや…」

智の手から、やっとの思いで束ねた半紙が滑り、ばさりと音を立てて床におちた。

再び板間に散らばった半紙のの中、その音に目を覚ました翔が、何一つ纏っていない身体を起こした。

「お師匠さん、これは一体…?」

智の声が、怒りではなく自然と震える。

そして智の手の中にたった一枚残った半紙は、智の手の震えに連動するかのように、ふるふると震えている。

「これはもしや…、私…でしょうか」


違うと信じたい。
このように淫らな姿、私ではない筈。

だってこれではまるで…


「違い…ますよ…ね?」

祈る気持ちで翔に問うと、翔は布団代わりにしていた着物に手を通しながら、床に散らばった半紙の中から一枚を拾い上げた。

「お前だよ」と。

「お戯れを…。だってこれでは…」


春画に描かれる遊女のようでは…


智の年頃では、春画の存在は知っていても、直接目にしたことは無い。

それでめそれがどういう物かは、智も良く知っている。

口にするのも憚れる言葉を飲み込み、智はその場にぺたりと尻を着いた。

「そん…な…、私…は…」

これまで翔に組み敷かれ、快楽に興じる自分の姿など、ただの一度も想像したことのなかった智は、たとえそれが翔の描いた物だとしても、茫然自失とするしかなかった。
/ 200ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp