第11章 募る恋情と、隠せぬ想い
わかり易く落胆する智を前に、潤は逞しい両腕を組み、暫くの間考え込むと、突然何かを閃いたかのように、片方の拳を掌なの叩き付けた。
そして、驚いてびくりと揺れた智の肩を、笹暮だった両手で掴んだ。
「おいら良い事考えたんだけど…」
「え…?」
首を傾げる智に、潤はにやりと笑って見せる。
「おいらがここに寝泊まりさせて貰う、ってえのはどうだい。」
「ここ…に、ですか?」
更に首を傾げる智に、潤はそうどとばかりにこくりと頷く。
「丁度父ちゃんもいねぇことだし、おいらがここにいたら、あんたの好きな時に仕事が出来んだろ?」
「そ、それはそうですが…」
「も、勿論、あんたが嫌だってんなら、無理にとは言わねぇけどな」
「嫌と言うことは…」
想い人でもある潤と寝食を共に出来ることは、智にとっては願ってもない程の喜びでもある。
ただ、和也は兎も角として、翔の断りもなく他人を…ましてや、潤を泊めたことが翔に知られれば、いくら智であっても許されることではない。
「どうする?」
潤の言う通り、四六時中共にいられるとなれば、時を気にすることなければ、もしかしたら翔が戻るまでに彫り物も仕上がるこもしれない。
私はどうしたら…