第11章 募る恋情と、隠せぬ想い
つい数日前会ったばかりだというのに、まるて幾年も会っていなかったように互いを懐かしみ、見つめ合う二人の間に、もう言葉など必要はなく…
二人は何かに引き寄せられるように、顔を寄せ合った。
そして、いよいよ互いの唇か重なる、そう思った時…
「わ、わりぃ…」
潤の、人よりも僅かに高く見える鼻が、智のすっと筋の通った鼻先とぶつかった。
「い、いえ、私の方こそ…」
「いや、何せ接吻なんてもん、初めてのことで、つい…」
「まあ…」
潤の思いがけない告白に、智は小さく驚きの声を上げると、と同時にぷっと吹き出した。
「な、なんでぃ、悪いかよ…」
智に笑われたことが余程恥ずかしかったのか、潤は顔を真っ赤にし、唇を尖らせた。
「いいえ、そうではなくて…、あっ…」
首を横に振り、尚も笑い続ける智を、潤は腹を立てるどころか、大工仕事で節ばった手で肩を掴み、強引に唇を重ねた。
今度こそぴたりと、隙間一つ無く重なった唇に、智は身体から全ての力が抜けて行くのを感じていた。
だからだろうか、唇が離れた途端、気恥ずかしさが襲って来て…
「あ、あの…」
「す、すまねぇ…」
「いえ…」
赤くなった顔を見られまいと、互いに俯いたまま、少しだけ荒くなった息を整えた。