第2章 艶やかなる牡丹の如く
「ああ、お師匠…さん…、そこばかりは…」
執拗に胸ばかりを攻め立てる翔に、焦れた智が紅く染めた頬を膨らすが、翔は一向に手を止めようとはしない。
それどころか…
「良いだろう。但し…」
唇の端を僅かに上げ、智の胸元からすっと手を引いた。
「その名で呼ぶ限り、触れてはやらん」
「そん…な…、意地悪…」
「意地悪で結構。お前の意固地ぶりには到底敵わんからな」
翔はその場にどかりと胡座をかくと、両腕を固く組んだ。
そして、むくれる智に見せつけるかのように、着物の裾を太腿の際までたくし上げた。
ごくり…と智の喉が鳴り、翔を見下ろす双眸に情欲の色が浮かぶ。
然しながら、翔も太鼓判を押す程の意固地な性分が故に、翔の誘いに素直に乗る事が出来ない。
「まったく、お前という子は…」
翔は組んでいた両手を解くと、左右に大きく広げた。
「さあ、おいで」と。
それには流石の智も辛抱出来なかったのか、翔の広げた腕の中に飛び込むと、翔の着物の襟元を乱暴に開き、まるで吸い寄せられるかのように熟れた唇を胸に寄せた。
「こら…、そのように急いては…」
翔が制止しようとするが、一切の聞く耳を持たない智は、翔の下腹部に手を伸ばすと、下帯に包まれた膨らみに指を触れた。