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千銃士【Noble Master Project】R18

第8章 英雄の狂乱



Master side----



(そう言えば今日はナポレオンさんが来るって…恭遠さんが言ってたっけ…)



衛生室の北側にある倉庫の小部屋。

沙優はそこでオオタカの世話をしていた。


イエヤスはキセルの作戦に同行したためしばらく帰ってこない。その間、世話を頼まれたのだ。


「ごめんね、そろそろ行かなきゃ。また明日の朝来るからね」


鳥かごの扉を閉め、沙優は自室へ戻ろうと倉庫から出た。



「マスター」

「きゃっ?!」



突然、夜陰から呼び声がして心臓が飛び跳ねた。

暗闇から姿を現した長身は…ラップだった。



「ラップ…さん?」

「はい、驚かせてしまい申し訳ありません。実はその……今夜の件でご相談させて頂きたいことがありまして…」


ラップは少し目を泳がせ言い淀みながら続けた。


「……今夜のNoble Kissは、陛下が行った、ということにして…どうか別の方でお願いできませんか」

「……えっ…?!」
(もしかして…ナポレオンさんに何かあったのかな…)


沙優はラップの腕を掴み見上げた。


「ナポレオンさん、どうかしたんですか…?具合でも…?」

「いえ、そのようなことは決してありません。その…陛下は少々、猪突猛進なところがありまして……ご自身の力を過信し過ぎているところがあります。あの調子で暴走されては、マスターの心身を癒すどころか、無礼を働き深く傷つけてしまうかもしれません…否、傷つけてしまいます」

「………」



早口で説明するラップに、沙優は思わずぽかんとしてしまう。


「しかしながら4挺も召喚なされたマスターへの癒しも急を要することは承知しております。今、基地でNoble Kissが与えられる貴銃士はマフムト、アレクサンドル、フルサト、ドライゼ、そして私です。マフムトとアレクサンドルは不参加を表明しており、ドライゼはまだNoble Kissのことを知りませんので」

「…えっと、てことは…つまり……」

「……私か、フルサトのどちらかを選んで頂くことになるのですが…」


ラップは目を合わせずに答えた。

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