千銃士【Noble Master Project】R18
第1章 邂逅
(……ん…)
目を覚ますと、見慣れぬ天井がそこに広がっている。
(……え、っと…)
ゆっくりと身体を起こし辺りを見回す。
清潔な白いベッド。同じベッドがいくつか並んでいる。
壁際の棚には薬品や包帯などが並んでおり、他にも医療器具らしきものがあちこちに置いてある。
(医務室、のような場所…かな)
窓から入ってくる日差しは、朝であることを教えてくれる。
天気は良さそうだ。
(昨日……レジスタンスに助けられて…それで私)
ゆうべのことを少しずつ思い出す。
人身売買の会場で銃撃戦が始まって……青い髪の男性に助けられた。
それから馬車に乗って、眠っていいと言われて……
(寝ちゃったんだそのまま…)
数年前に日本からこの欧州にやってきて、人身売買により様々な人の元を転々とした。
主に世界帝の息のかかった金持ちや貴族たちの元を渡り歩いていた。時に家政婦、時に娘の代わり、時に愛玩道具……思い出したくもないが、娼婦のまねごとのようなこともやらされた。
(…っ……)
反射的に肌が粟立ち、思わず両腕を抱え込む。
ちょうどその時だった。
「…大丈夫か…?」
声がした方向へ顔を上げると、そこにはゆうべ自分を助けてくれた青い髪の男性が佇んでいた。
「どこか痛むのか?」
「あ…いえ……大丈夫です」
そう答えると彼は安堵したようにふっと笑い、食欲があれば、と言って朝食を差し入れてくれた。
「慢性的な物資不足であまり上等なものが出せずすまない…」
そう言いつつも野菜がたっぷり入った温かいスープに焼きたてのパンが添えられている。
「ありがとうございます……いただきます」