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千銃士【Noble Master Project】R18

第1章 邂逅



今から6年ほど前。

世界帝が代変わりした、という情報が極東の国日本に届いた頃には……もうすでにこの小さな島国には世界帝軍の手が広がっていた。


元々人口減少により多国籍になっていた日本。
しかし、持ち前の科学力と職人の技術力は健在で、表向きは地味に暮らしていたものの、地下ではその技術を失わぬよう活動を続けていたのだった。


それは、レジスタンスとは少し違う組織だったが、それでもいつか世界帝に一矢報いてやろうという思いは同じだったように思う。


「ヒノモト」と呼ばれるその組織では主に、電子機械系の技術者、美術品やからくり、伝統工芸の技術者、そして見えない力…第六感の力を持つ者たちで構成されていた。

見えない力を持つ者たちは、今や珍しい日本人の「純血種」が多く…沙優もその一人だった。

沙優は技術者の弟子であった兄と共にヒノモトに所属し、世界帝軍の魔の手から逃れながら地下で活動をしていた。



しかし数年後、本格的な粛清が行われた。
それによって兄を失った。


兄は燃えさかるがれきの下から、沙優に手を伸ばし言った。

「生きろ。お前の持つ力は……この世界の希望だ……行け!!」



その言葉を最後に、がれきは崩れ……兄とはそれきりだった。




泣きながら走りあてもなく彷徨っていると、ガスマスクを纏った世界帝軍の兵士に見つかってしまった。

「っ……!!」

銃口を向けられ、必死に走る。足元を撃たれ、バランスを崩しそのまま倒れ込むと、兵士が駆け付けてきた。


(もう、だめだ……お兄ちゃん…ごめん……)


倒れた沙優の肩に冷たい銃口が当てられ…引き金が引かれようとしたその時だった。



「待て」

後ろから、低くくぐもった声が聞こえた。

「……純血種なら高く売れる。殺すな」

「はっ……畏まりました、アインス様」


(……純血種……アインス………)


遠のいていく意識の中…微かに聞こえたその言葉だけが頭の中でリフレインした。


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