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千銃士【Noble Master Project】R18

第7章 鷹狩り



数日後、オオタカは回復し、こちらが与えた食べ物を食べるまでになった。


羽ばたく練習をたまにしているものの、大空を飛ぶまでにはまだ時間が掛かりそうだ。




「そういえば」

オオタカに餌をやるイエヤスに、沙優は尋ねる。

「どうしてオオタカだって分かったの?」

「ん?……あぁ、徳川家康公が『鷹狩り』を好んでいてな」
「鷹狩り?」

頷きながら、イエヤスはオオタカの身体を撫でる。

「鷹に狩りをさせるのだ。鷹が狩った獲物を、餌と引き換えにこちらが得る」
「へぇ…そうなんだ」
「元気になったら、こやつも狩りが出来るかもしれんな」
「うん、そうだね」

くぅ、と甘えたような鳴き声を上げたオオタカに笑みを零すと、イエヤスはそのまま沙優の手を取った。

「あ……」

「マスター、たまには気晴らしに出掛けないか?」

「……どこへ?」

イエヤスはにこりと笑う。


「案ずるな、そう遠くへは行かぬ」




**********

「うわぁぁぁっっ!!」


レジスタンス地域近くの非汚染地域、広がる平原を、沙優とイエヤスは黒毛の馬に跨り駆け抜けてゆく。

「マスター、怖いか?」
「うん…っ……ちょっと怖い…!!」

イエヤスは沙優を前に乗せ、手綱を握っている。

「鞍に掴まっていれば大丈夫だ」

耳元でそう言いながら、片腕で沙優の身体をぐっと支える。

「……っ…」

別の緊張感が沙優を支配する。
背中からイエヤスのぬくもりが伝わり、耳元には息づかいが聞こえる。

「……マスター、狩りをするのは怖いか?」


「えっ……」

少し躊躇いが生まれる。
しかし、生き物を狩り、それを食べるのは人間の性でもある。

「大丈夫」
「そうか、できるだけ小さな獲物を狙う」

そう言ってイエヤスは沙優に手綱を握らせ、片手で本体である銃を構えると、平原の彼方へ数発撃った。

「……えっ、もう?」

「あぁ」

イエヤスは再び手綱を握り、獲物のそばへ寄ると馬から降りて1人、獲物を袋へ入れた。


「野ウサギだ」
「……っ…」
「ははっ……そう険しい顔をするな。捌くのも全て俺がやるから、安心していろ」

馬の後ろに獲物の袋を乗せ、イエヤスは沙優の頭を撫でた。

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