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千銃士【Noble Master Project】R18

第7章 鷹狩り



全ての洗濯物を干し終えて踵を返すと、衛生室の入口に誰かいるのが見えた。


誰かを探すように辺りを見回し、こちらを見るや手を振ってくる。

「…マスター!」

声からしてイエヤスだ。沙優は空の洗濯カゴを抱えて駆け寄る。

「イエヤス、どうしたの?」
「その、手当を頼めないか…?」
「えっ……どこか怪我したの…?」

驚きイエヤスを上から下まで見回すが、目立った外傷はない。

「あ、いや…俺ではないんだ」

「……?」

「来てくれるか?」

イエヤスに手を引かれ、沙優は衛生室へと入った。



**********

「えっ…これは…??」

衛生室のベッドの上にいたのは、予想外の人物…いや、動物だった。

「森の中で弱っているところを見つけたのだ…」

白と茶色が入り交じった羽色の鳥が、ぐったりとそこに横たわっている。

息はまだあるようだ。

「すまない、俺は嗜みが無いゆえ手当の方法が分からぬ」

「……怪我、かな」

「オオタカ、だと思うのだが」

鳥の種類はよく分からないが、沙優はそっと鳥の羽根に触れる。

沙優の指先から、オオタカらしきその鳥の記憶が流れ込む。

数キロ先の平原、空を飛んでいるところに銃声が響く。
何発かの銃声の後、左羽根を弾丸が掠めたらしい。激しい痛みの記憶が流れ込む。

(っ……)

実際痛みを感じるわけでは無いのだが、記憶が錯覚を起こす。

「大丈夫か、マスター?」
「うん、平気。…左羽根を怪我してるみたい…手当してみるね」

沙優は簡単な応急処置を施し、スポイトと水を用意した。

「これで少し水分や栄養が取れたらいいんだけど…」

オオタカのくちばしにスポイトを咥えさせて水を少し送り込む。

すると、喉が微かに動き、水を飲んでくれた。

「ん!……今、飲んだな」
「そうだね…!これならきっと回復するかも」

沙優はイエヤスと顔を見合わせ、互いに笑い合った。
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