千銃士【Noble Master Project】R18
第3章 イエヤス(R18)
すると、沙優の胸元にあるバラの紋章が淡い光を帯び始めた。
「…マスター?紋章が…光っているぞ……?」
「え……?」
すると二人の間に再び光が溢れ出し、その中心には赤い花弁のようなものが渦巻き始めた。
「バラの…花弁(ペタル)……?」
花弁はやがて一輪の薔薇を象った。かと思うと、すっと姿を消してしまった。
「今の…何だったのかな……?」
「…さぁ……なんだろうな。今ので痛みや何かが起きたりはしていないか?」
「うん………って…ふふっ……イエヤスったら…」
沙優は思わず吹き出してしまう。
その笑いの理由が分からずイエヤスが首を傾げていると
「だって……さっきからずっと…痛くないかとか、つらくないかって……そればかり」
「っ……それは…許せ……何もかもが初めてで……心配でたまらんのだ…」
顔を赤く染めながら困惑するイエヤスが可愛く思えて、沙優は思わず頬を撫でる。
「……ふふ…ごめんなさい。でも、嬉しい……ありがとう」
顔立ちの似た二人は、顔を見合わせ笑いあいながら、しばし互いの体温を分かち合ったのだった。