千銃士【Noble Master Project】R18
第3章 イエヤス(R18)
翌朝、恭遠から説明を受けた沙優は
以前のマスターの経緯や、Noble Master Projectという極秘資料の存在、そして貴銃士6人で結論に至った流れを全て聞かされた。
「本当にすまない……君を失いたくないあまり、非人道的な行いをしていることは重々承知の上だ」
「分かっています……恭遠さんの気持ちも、立場も…分かります。ですから……」
これだけは約束して下さい、と沙優は続けた。
「この件は…できるだけ内密に……お願いします。特に、余所から新たに譲渡され召喚した貴銃士たちは前マスターの記憶を持たない……あまり知られたくはないんです、こんなことをしていると」
「もちろん、決して表沙汰にはしない。約束しよう」
丁度二人が話を終えた時、作戦室の扉が勢いよく開かれた。
「恭遠、恭遠いるか…!」
入ってきたのはイエヤスだった。
普段は必ずノックをして入室するような落ちついた人だというのに、今日は随分と慌てている。
「どうしたんだ、イエヤス」
「………」
沙優は昨日のこともあり、少し顔を赤くしながら黙って見つめる。イエヤスもそれを分かっているようで、少しだけ顔を染めたがすぐに恭遠に向き直った。
「それが……大変なんだ。これを…」
イエヤスは懐から何かを手に取り恭遠に差し出した。
「………こ…これは……!」
イエヤスの手に差し出されたものを見て恭遠は驚嘆の声を上げた。
「……おそらく、ゆうべの件が関係していると思うのだが…」
「そうなのか?何かあったのか?」
イエヤスは頷き、沙優を見つめる。
「……?」
首を傾げる沙優がイエヤスの手の中を覗き込むと…
そこには、小さな赤い「勲章」があったのだった。