千銃士【Noble Master Project】R18
第3章 イエヤス(R18)
Master side----
不思議な体験だった。
もちろん多少の疲労感は残っている。
でもそれは、貴銃士を召喚した疲労感ではなく……おそらく「目合い」の疲労感だ。
まったく質が違う。
何より……あの痣から発せられた異様な灼熱感は、嘘のように消えている。
先ほどまで、死にそうなほどつらかったというのに。
(そうだ、イエヤス…!)
沙優は身体を起こし、隣に横たわるイエヤスを見やる。
「イエヤス、大丈夫?!何かおかしくなったところはない?」
その肩に触れると、イエヤスは伏せていた目をゆっくり開けて、こちらを見た。
そしてふ、と笑う。
「それはこちらの台詞だぞ…?マスター……」
「えっ……?」
イエヤスはゆっくりと身を起こし、沙優の黒髪を一房すくった。
「大事ないか……?どこか痛んだり、つらくはないか?」
「……大丈夫。むしろ……つらいのが、本当に消え……っ?!」
言い終わらぬうちに、沙優はイエヤスの腕の中に抱きしめられた。
「イ…エヤス……??」
「……まったく、あなたは…自分のされたことを棚に上げて…人の心配などして……」
イエヤスの大きな手が、そっと頭を撫でてくれている。
「……あなたを傷つけるようなことを、してしまった…本当にすまなかった」
「………イエヤス」
沙優は、少し語気を強めて名を呼んだ。
そして、イエヤスの胸板に手を当て顔を上げる。
「イエヤス、私は傷ついてなんかいないよ」
「………えっ…」
イエヤスが目を見開く。
「あなたに抱かれて傷つくわけがないでしょう……?」
「……マスター……っ…」
沙優は微笑みながら、イエヤスの頬に唇を寄せた。
「……Noble Kissを…ありがとう……イエヤス」