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千銃士【Noble Master Project】R18

第3章 イエヤス(R18)



「あぁ。だからもし……もし、マスターが嫌だと思うならば…俺から恭遠に説得する。だが、恭遠も……あなたという存在を失いたくない、そしてレジスタンスを勝利に導きたいという思いがあり…断腸の思いで決断したということを…分かってほしいのだ」

話が見えてこない。
ただ、イエヤスはものすごく苦しそうな顔をしていた。


「ねぇ、イエヤス」

沙優はイエヤスの手を取り尋ねる。

「その方法って……私が傷ついてしまう、その方法って……一体なんなの?」

「…………それは……」



すると、イエヤスは触れていた手を離すと、沙優の顔の側に手を突き、覆いかぶさるように迫った。

「えっ………」

鼻先が触れそうなほどまでに、イエヤスの端正な顔が近づき、心臓が大きく跳ねる。


「……男女として、目合(まぐわ)うこと、だ……」
「ま……ぐわ…う……って………え……」


戸惑う沙優に、イエヤスの表情は曇った。

「マスター……俺は、あなたのことを…とても……とても、大切に思っている。だからこそ……あなたの心身が傷つき苦しむ姿を見たくは無い。だが、あなたが望まぬ目合いで空しい思いをするのも同じくらい見たくないのだ……」

「イエヤス……」

「前マスターの亡くなる瞬間を、俺は知らない。しかし、何度も倒れ、血を吐きながら俺たちを召喚して、癒して…やせ細り、病床につきながらそれでも痛々しいほどに笑って俺たちを気遣ってくれていたあの人の姿も…覚えているのだ……あなたを……同じ目に合わせたくないのだ……!」


イエヤスの感情が…記憶が……僅かに触れた部分から沙優の中へ流れ込んでくる。


「俺で役不足だというなら他の貴銃士でも構わない……頼む…Noble Kissを……受け取ってくれないか」


沙優は目を閉じながら、イエヤスの頬に手を添えた。
より鮮明に彼の記憶が見えてくる。

恭遠との会議、言い争う6人の貴銃士……きっとこれは最近の記憶だ。


「……マスター…?」


ここで私が降りれば…きっと……世界帝軍の支配は永遠に続くだろう。
遅かれ早かれ、レジスタンスは壊滅させられ……そうしたら


(兄の死も……ヒノモトの仲間の死も、全部無駄になる)


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