千銃士【Noble Master Project】R18
第2章 目覚め
「皆はどうやら記憶が残っているようだから承知の通りだが、我々の前マスターは…貴銃士の召喚や治癒により大幅に心身を消耗し…結果、世界帝軍との決戦前に亡くなってしまった。あれから実に3年の月日が経っている」
「………」
「そしてやっと見つけたのが沙優……新しいマスターだ。彼女はもともと心身ともに強く、高いポテンシャルの持ち主ではあるものの、やはり根本的に回復手段がない限り、前マスターと同じ道を辿ることは明白である。そこでだ」
恭遠はデスクに資料を広げた。
「……Noble Master Project?」
読み上げるアレクサンドルに恭遠が頷く。
「これは世界帝軍から極秘に入手した、マスターと貴銃士に関する資料だ。ここに、心身を消耗したマスターを癒すために必要な『Noble kiss』というものについて書かれている」
「マスターを癒す方法があるノ?!」
「なぜそれを世界帝軍が知って……」
フルサトとイエヤスは資料に食いつく。が、英文で書かれた資料のため二人は読めずに固まっている。
「世界帝軍にも貴銃士がいるからね…そして彼らは問題なくサポートを受けて活動しているところを見ると…相手のマスターはこの方法を用いていると考えられる……そうだろう?恭遠」
マフムトの言葉に恭遠は頷いた。
「推測の域ではあるが、おそらく世界帝軍の貴銃士たちのマスターは…世界帝本人。そしてこの『Noble kliss』という手法で自身を回復させ、貴銃士を癒し、戦力を維持している」
「恭遠……本当にこれを…実行するのですか」