第2章 目覚め

1週間後


沙優という新しいマスターを迎えることができ、レジスタンスは一気に活気を取り戻した。
彼女は次々に貴銃士を蘇らせ……戦力は一気に拡充された。


手元に残っていた古銃の中で絶対高貴に目覚めていたイエヤス、ナポレオン、ラップ、フルサト、アレクサンドル、マフムトが貴銃士の姿に戻った。


この6人を中心に世界帝軍に奪われた重要な古銃……アリパシャ、エカチェリーナ、そしてハプスブルク家の3挺を取り返し、量産型の銃を探しながら戦力を拡充していくことになる。


他の支部からもいくつかの銃を分けてもらい、沙優は順調に貴銃士を増やしていったのだった。





あまりに順調すぎる展開。

恭遠はあることを恐れていた。




それは、前マスターが踏んだ轍（わだち）

能力の消耗により、命が削られ……死んでしまうという結末だ。



幸い
沙優は日本人の純血種のせいか、そういった不思議な力や精神力が強い傾向があり
前マスターの時ほどの消耗はしていないようだった。


しかしここから先
多くの貴銃士を生み出し、そして絶対高貴へ導き、傷ついた貴銃士たちを癒す……
そうなったらば、さすがの沙優も命が尽きてしまうのは時間の問題であろう。



沙優を失ってはならない。
もう二度と、マスターを失ってはならないのだ。




前マスターが亡くなってからの3年間
恭遠たちは、ただ漫然と過ごしていたわけではなかった。


貴銃士とは何なのか
マスターとは何なのか


そしてマスターを死なせないためにはどうすればいいのか


方々から情報を集め、様々な資料を読み込み、時には敵陣に潜り込みながら
とある情報を得たのである。



マスターの持つ、貴銃士を癒す力
そのマスター自身を癒すことのできる唯一無二の方法があるという。



それこそが
「Noble kiss」