千銃士【Noble Master Project】R18
第2章 目覚め
痣から生まれた熱で全身が焼け落ちてしまいそうになる。
もうだめだ…そう思い、手を離そうとした瞬間……誰かにその手を掴まれた。
パシン
力強く腕を引かれ、全身を覆う灼熱の地獄から引きずり出される。
…………
やがて白い閃光はおさまり、元の部屋に戻った。
「はぁ…はぁ……はぁ……」
何かに集中した直後のような疲労感。そして、本当に火あぶりにされてたかのように、全身が汗だくになっている。
「………イエヤス…なのか……」
後ろから、恭遠の声がする。
うずくまる沙優の目の前…彼女の右手を握り締めながら跪く者がいた。
「あなたが…俺を、呼び覚ましてくれたのか」
澄みきった声に顔を上げると、そこには端正な顔立ちの……慣れ親しんだ日本人顔の男性がいた。
彼は沙優の手を引き彼女を立たせると、自分は彼女の前に跪いて頭(こうべ)を垂れた。
「我が名はイエヤス。かの徳川家康公が愛用していた銃であったため、その名を頂戴した。家康様の名に恥じぬ、勇ましい働きを約束しよう」
「………こ……これが…貴銃士……ですか……?」
「やった……ついにやったぞ……マスターを……マスターを見つけたぞ!!!!!」
恭遠は、基地全体に届かんばかりの声で泣きながら叫んだのだった。