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【ヒロアカ】私たちには余裕がない。

第12章 疑惑中。


「···なんで、すぐバレるような嘘つくの···
···そんなに、はやく別れたかったの?」

「おい···なに訳分かんねぇこと、」

「忘れたの? それともしらばっくれてるの?」

勝己くんの眉間にシワが寄っていく。

もう、ここはガツンと言わなきゃいけないんだろうな。


「···ねぇ、勝己くん。

浮気、してるでしょ」



心臓がけたたましく鳴る。

もう我慢できない、とばかりにけたたましく鳴る。

痛い。痛くて、熱い。

「······は?」

倒れそう。個性のせいじゃなくて、普通に倒れそう。

視界がチカチカする。眩む。眩む。

「浮気···してたって別に構わないから···もし、してるなら、早くここから出ていって」

勝己くんに対してこんなに強気で物を言えるなんて。

出会った頃は、思いもしていなかった。




たったの数分が、永遠みたいに感じる。



そんなの、あるわけ無いって思ってたけど、今まさに、私はそれを経験している。

長い。

勝己くんがどんな顔をしているのかも見るのが怖くて、顔を向けられない。

息切れがすごい。動悸がすごい。

誰かが心臓を鷲掴みにしているみたいに苦しい。息苦しい。

「···本気かよ」

「···本気じゃなきゃ、こんなこと言わない」

溜め息のような、深い呼吸が聞こえる。

今になって、この人に嫌われてしまうことを怖がっている自分が生まれてきてしまった。

でも、最後にこれだけ。

これだけは、聞いておきたい。


「···この前の、雨の日···
···勝己くん、お母さんに『ここで雨宿りした』って言ったんでしょ? ···来てないのに」


どうして?

それだけが、本当に気になる。

だって、すぐバレる嘘でしょ? そんな嘘、この人がつくようには思えない。

「···あれを浮気だって思ってんのか」

「え?」

「···お前の方こそ、浮気してんだろ」

「···え?」


······え?




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