第12章 疑惑中。
「なんだったんだよ」
「あ、えっと、母からで‥‥」
意外とフツー。あれ、フツー。
用件をざっと伝えると、眉間にシワが寄り始めた。
うん、わかる。私も彼氏に急に言われたらビックリするもの。
「お前の家‥‥」
「そう‥‥実家遠いんだけど‥‥やっぱダメだよね」
早速お断りの電話を掛けよう──
「おォォォォい!!!」
「どぅっ!!!!!?」
‥‥え?
え、な、え? 何故怒鳴られてるんだ? 私。
「お前よォ‥‥俺のこと舐めとんのか」
「え!? いや決して‥‥」
「誰が行かねぇなんて言ったよあァ!?」
「!」
え、行くの!?
「明日だ。明日行く」
「え!? 明日!? 日帰りは無理だよ!?」
「明日振り替え休日なんだよ。今日午前授業で」
「うえぇ‥‥」
なんて都合のいい世界。
「他に休みなんてねぇだろ」
「うん、まぁ‥‥そうなんだけど」
明日行かなければ、また次会うのは来月だ。
そう考えると、何だか時間を大切にしたい気がしてきた。
確かに、今行かなかったら、もうきっと、うちの父と勝己くんが会える日なんて来ない。
「‥‥分かった。じゃあ、飛行機予約しとく」
「おう」
‥‥‥あれ? 飛行機代って、全負担?
勝己くん高校生だし‥‥私が払った方がいいよね? あれ、私が払うのが当たり前?
待って、今月のバイト代って、