第11章 あなたとわたしのゆめのえがきかた
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ほかほかする体。
熱に浮かされた躰が、きつく抱き締められた。
声を抑えようと添えていた手を退けられれば、もう我慢することなんか出来なかった。
自分のなかで異物が動く感触。
ゆるゆると動くソレは、私の背筋に何かぞくっとするものを運んできた。
「っ···ん···っ」
耳元で声がする。私を呼んでる声。
その声も、吐息も、すごく熱い。握っている掌も、重なる躰も、全部熱い。
「くっ···うっ···」
苦しそうな呻き声も、我慢してる艶やかな声も、今だけは、私だけのためにある。
いつか無くなってしまうような感情だとしても、お互いをいつかは忘れてしまうとしても、
今だけは。
「···!? あっあ···!」
不意に、律動が速くなった。
達することさえ惜しいように思えた動きが、ただただ快楽だけを求める動きに変わった。
───と、思ってたけど、そうじゃなかった。
「···余計、なこと···っ、考えてんじゃ、ねぇ···よっ」
「!」
舌打ち紛れに聞こえたその声は、その言葉は、まだまだ理性がある大人の言葉。
本能のまま動いているのだとばかり思っていた情けない私を一蹴するような、心にピンポイントで刺さる言葉だった。
肉と肉がぶつかり合う音が部屋に響く。
薄暗い部屋の中で絡んだ視線は、熱を帯びていて。
心臓の奥をそのまま食い千切られそうなほど、熱く、締め付けられた。
「あぁっ···! んっ···、んぁ···!」
奥を貫かれる、その度に、視界がチカチカするほどの快楽の波が押し寄せた。
頭が真っ白になりそう。
まだ一欠片残っている理性を保つために、目をきつく閉じた。
耳元に降る勝己くんの艶かしい声が毒のように思える。
瞑られた視界の中で、重なった唇。
熱くて、甘くて、心の片隅が痛む。軋むような痛みと、この幸せが終わってほしくない我が儘。
その両方が、私の心を支配した。
離したくないと言わんばかりの熱く激しいキス。
舌が絡まる度になかが締まって、勝己くんの躰がピクリと跳ねる。
湿った音が、寂しい部屋に響いた。
そういえば最近はあまりしていなかったな、とここで初めて気がつく。
生理的な涙が、頬を伝った。