第10章 突撃中。
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「今日の夕飯何にしよー」
「玖暖ちゃんご機嫌~」
「へへ、今日良いことがあって」
「えー? なにー?」
バイトの先輩と喋りながら、バイト終了の時間を待つ。
最近来なくなった雄英生達。
どうやら色々忙しいようだ。
そんな中、家に来てくれる勝己くん‥‥くぅ、惚れてまうやろ。
「‥‥でも、やっぱ家に帰らせた方がいいよね」
「え、何の話?」
「あ、いえいえ」
興味津々に聞いてくる先輩。
一応お付き合いさせてもらってる人が年下で、しかも雄英生とか、流石に言えないよね‥‥
「あ、お待ちかねの定時だよ! 上がっていいよ、 玖暖ちゃん」
「じゃあ、お先失礼します!」
ふわふわした気分で家に帰る。
今日はちょっとだけ早く寝よう。
そして、また明日も頑張ろう。
あの雄英を見て、私は何かを見つけられた気がした。
ずっとずっと暗闇の中で探してた何か。
それが何なのか、ちょっとまだ分かってないけど‥‥
きっと、すごく良いもの。
だって、あの雄英で見つけられたんだもの。
そう思って、小走りで夜の街を走った。
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「ただいま~‥‥」
って言っても、誰もいないけど。
でも、誰もいないからって言わなくて良いって訳じゃないよね!
ソファーにカバンを放って、ベッドにダイブする。
時計の針の音だけが響いて、街の明かりが窓から差し込む。
今日、実はちょっと勝己くんに会いたかったなぁ‥‥なんて。
頑張っているあの子を、直接見てみたかった。
でも、そんな我が儘を行ってる場合じゃないから。
いつか、目の前で見れますように。
────ピンポン────
「ん?」
まさか、と眉間にシワを寄せた。
まさか、また勝己くんが来たんじゃないだろうか‥‥
最近、当たり前のように来ているけど、きっと疲れている。絶対疲れてる。
こんな所に寄ってないで、早く帰るべきだ。
‥‥うん、そう言おう。
連打されるチャイム。それは、彼がふざけている合図。
ここは、一応年上の私が、ビシッといかないと。
「‥‥あのさ、────っわ!?」
───開けた途端に雪崩れ込む体。
咄嗟に靴棚に手を置くが、結局倒れてしまった。