第9章 訪問中。
玖暖side────---
────初めての、雄英。
遠くから見てもあんなに大きかったこの場所。
近くで見ると、より迫力がスゴかった。
「校舎の中には入れないよね‥‥。受付の人にでも渡してもらうか」
正門前に居た警備員に事情を説明する。
「今、校長と連絡が取れました。どうぞ」
何やら首に提げるタイプのカードを貰い、中に促される。
一歩足を踏み入れると、足裏から青白い光に捉えられた。
電子的な音を出して、爪先から頭までチェックされる。
こわ‥‥
やがてその光も収まり、また歩き出した。
事務室に行くよう言われたっけな‥‥、どこだ?
「ああ、あった」
目の前にあった。
ノックして、扉を開ける。
「はい?」
「あの、ヒーロー科1年生の爆豪勝己くんにこれを渡して頂きたいんですが」
「あ、はい。承知いたしました」
何やらエレベーターガールのような口調の若い女の人。
微笑みながら、渡した紙をファイルに入れる。
「失礼しましたー‥‥」
「あ、お待ちください」
「え?」
「校長がお呼びです」
‥‥‥え?
───────---
「───こちらです」
うわ‥‥広い。
踏み入れた校舎の中は、私が過ごしたものとは全くもって違ってて。
学校というか、もう大学以上、普通の会社みたいだ。
でも、よく見れば、所々に部の勧誘ポスターや文化祭のテーマ募集の紙が貼られていたりする。
微笑ましいな‥‥
「失礼します」
ノックして、扉を開けた。
ゆっくり後ろ手で閉めた扉。私の視線は、校長先生に注がれていた。
‥‥‥かわいい。
「ようこそ、雄英高校へ。普段は一般の人は立ち入れないんだが、君は特別さ」
「あ、あの、何かしましたでしょうか‥‥」
こんな可愛い姿して個性残虐だったらどうしよう‥‥辛い。
内心ビクビクしている私を他所に、ソファーに座るよう促す校長先生。
逆らえず、浅く腰を下ろした。
「爆豪勝己くんについて聞きたいのさ。どうやら、知り合いのようだしね」
「はぁ‥‥。‥‥‥!!」
まさか‥‥‥まさか、異性交遊禁止!?
恋愛禁止的な学校なの、ここ!?
そうだとしたら、易々と「恋人です」なんて答えちゃいけないよね?
え、どうしよう、親戚? 親戚にしとく?
どうする私‥‥!