第4章 和み中。
え、本当に? 好きなの? あんまり信じてなかったんだね、私。
頬杖をついて「へぇ」と繰り返しているお母さん。
顔色ひとつ変えないで、見つめ返す爆豪さん。
そのうち、お母さんは声をあげて笑い始めた。
「熱い男ね、あんた。いいわよ、そういうの」
「お母さん‥‥」
「どう見ても同い年には見えないけど、年齢なんて関係ないしね」
微笑みながら、私の方を振り向く。
「あんたも、とうとうね。男の一人や二人、作る歳やもんね」
「二人も要らない‥‥」
「さてと。緊張しちょったわ。トイレ借りるよ~ん」
さっきまでの空気が嘘みたいにるんるんとトイレに入っていく。
突然訪れた二人の空間に、ドギマギする。
シチューはまだ熱々。
「‥‥お前の親、」
「!」
「‥‥お前そっくりだな」
「!? どこが!?」
「はん」
「はん!?」
鼻で笑われた。昔から似てないって言われ続けたのに。
爆豪さんは、目を細めて私を見つめた。
「妙に熱いところ」
「えぇ‥‥?」
わたし別に熱くない‥‥。
意地悪そうな微笑みを浮かべながら、爆豪さんは私の頭を撫でた。
ったく‥‥どっちが年上なんだか分かんなくなるよ。
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「勝己くん! シチュー余っとったわ! 食べてく?」
「いただきます」
‥‥‥なんか、和気藹々(あいあい)としてるな‥‥。
私よりも仲良くなってない?
「どう?」
「美味い」
「でっしょ~? この料理でこんなに美しい子が育ったんやで~」
「はっ」
鼻で笑うな。バカにすんな。
仲良いな‥‥なにこの光景。
ペロリとシチューを平らげた爆豪さんは、お母さんと一緒にお皿を洗い始めた。
家族だ‥‥家族の風景だこれ‥‥
「私も何か、」
「「いい」」
「‥‥はい」
なんでこんなに除け者扱い!? え、この家私の家だよね!
ちょーたのしそー。
一人のテレビ、笑えない。いつもはバカみたいに笑ってるのに。
二人の後ろ姿、すごく胸が温かくなる。
嬉しい。嬉しいけど‥‥
何だか、寂しい。
‥‥こんなこと思うの、どうかしてる。