第5章 路地裏 in ハンジ&モブリット
「"恋人たちの路地裏"……」
現在、兵団内でも一番話題性のある噂。
普段恋愛ごとに興味の無いハンジにすら、わざわざ足を運ばせたもの。
それが……
『気になる人とあの路地裏を訪れると、自然と距離が縮まる』
というもの。
「確か最初は…エルヴィンとナナバだっけ?」
「うん!かっこいいナナバお姉ちゃんと」
「エルヴィン団長さんでした」
「はは、"かっこいい"か。
相変わらず女子人気が高いねぇ」
「兵団内でもそうですね。
密かにファンクラブが出来るくらいですから」
そんなナナバと、恋人がいるにも関わらず引く手数多のエルヴィン。
この二人、特別何か、という訳ではないがあの夫婦漫才からこちら、密着度がより増したらしい。
その証拠に、モブリットがそれとなく二人に問えば、
『あぁ、そうだよ。羨ましいかい?』
と恥ずかしげもなく即答するエルヴィン。
『…そう、見える?だったら、そう、なんだと思う…わ、私はよく分からないけど!』
とツンデレ感満載で肯定するナナバ。
「いやぁ、ナナバのテレ顔って可愛いよね!」
「エルヴィン団長は益々仕事に気合いが入っているようで…書類の処理スピードが、以前にも増して格段に上がったそうです」
「お、それっていい事じゃない」
二人の精神的な部分だけでなく、どうやら物理的にも益が出ているらしい。