第4章 路地裏イチャイチャ in 兵長
もうそろそろ、四回目。
それに合わせてタイミングを見計らう。
「……、…!」
そして、人の渦に腕を突っ込む。
と、見事ぴったりにその指先に触れた、自分の腕よりも細いそれ。
リヴァイは、力任せに引っ張った。
「!?」
「…っ」
数歩、たたらを踏む様にして路地裏に入り込んだ。よくよく見ると服は皺だらけで、髪も乱れぼさぼさとボリュームを増している。
「感謝しろよ」
まぁ、些か乱暴ではあったが…この状況では致し方あるまい。
「おい、何を放心してやがる」
「ぁ……、兵長!」
「ようやく気付いたか」
やれやれというように、俯き気味で溜息を一つ。
眉間の皺はお馴染みで、服に着いたほこりを払う仕草も見慣れたもの。
「お前は、どれだけ流されれば気が済むんだ」
「…!」
「申し訳ありません、ご迷惑を…!」
あの状況から救いだしてくれた。
ようやく理解したは、勢いよく頭を下げる。
腿の辺りに添えられた両手には、リヴァイが持つ紙袋と同じものが。
「…お前もか」
「え?」
「それだ。中身はハーブティーだろ」
「あ、はい。ミケ分隊長へお礼にと思いまして…」
まただ。
との会話ではよくある。
五回に一回程度だろうか。『ミケ分隊長が』『ミケ分隊長の』『ミケ分隊長は』と前置きされたり、話の節々に挟み込んだり。
「ミケに弱みでも握られてるのか?」
「ち、違います!先日買い出しの際に、その…ご迷惑をおかけしてしまって。そのお礼です。弱みなんて握られてません!!!」
「あぁ、分かった。そんなに興奮するな…鼻の穴広がってるぞ」
「!?」