第4章 「SBK」~一次審査~
「秋人…、帰ってたのか。」
秋ちゃんのお父さんは、買ってきた食材をしまいながら静かに口を開いた。
「父さん…、オレ…「オレは認めんぞ!ミュージシャンなんて!」
「…!!」
秋ちゃんの言葉に重ねて言われ、言葉を失う。
「それに、音楽で食っていけるほど、世の中甘くない。」
「……」
「いいかげん、諦めてこの店を継いだらどうだ!」
「……待って父さ…」
バタン…
「……っ。」
秋ちゃんがうつむいて、拳をきつく握る。
「あ、秋ちゃ…」
「ごめん、今日はもう帰ってくれるか?」
私が声をかけようとした瞬間、秋ちゃんが話し出した。
「え…?でも…」
「いや、帰ろう…ひま。」
「うん。…おばさんお邪魔しましたー。」
「あらっ、もう帰っちゃうの?ごめんなさいね、あんなところ見せちゃって…。また来てちょうだいね!」
「はい。」
「……。」
(秋ちゃん…。)
「ひま、帰るぞ。」
「う、うん…。」
私達は店を出た。
ただ1人、悔しげな秋ちゃんをおいて。