第1章 プロローグ
「ふぅ…。」
パチパチパチ…
歌い終わると、ちらほらと拍手がおこった。
私も拍手をおくる。
「ありがとうございました!」
女の人はそう一言お礼を言うと、タオルで汗を拭いたり水分補給をしていた。
「あ、あの…!」
私は声をかけた。
「はい?」
女の人は首にタオルをかけて、振り向いた。
その人は背がすらっとして、栗色のロングヘアーがとてもよく似合っている。
同性の私から見てもスタイルが良くて羨ましい、大人の女性という感じの人だった。
「ギターすごく上手なんですね!」
「ありがとうございます!でも、まだまだですよ…。」
女の人は頭の後ろに手を置き、えへへ~と私に笑ってみせた。
「いえいえ!あと、歌声もすごく綺麗で…」
ぐぅぅぅ~~…
「ん?この音は…?」
「……お腹空いた…。」
女の人はお腹を抑えて、しゃがみ込んだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
「……うーん、何か食べ物…。」
私はとりあえず、近くのファミレスに連れて行った。