第3章 season
「私がミュージシャンになろうと思ったのは、高校2年のときに学校の近くの、病院に入院してた『太陽くん』って名前の男の子に、会ったからだよ。」
「太陽くん?も、もしかしてひまの彼氏?!」
「ぅえ?ううん、彼氏じゃないよ!」
私は首を横に振り答えた。
「晴花って、本当にそういう話好きだよなー。」
と、頬杖をついて言う雪ちゃん。
「いいじゃん、恋バナ!もっと詳しく聞かせてよっ!」
晴花は目を輝かせながら言った。
「うん!太陽くんはギターがすごく上手で、歌も上手で聴き惚れたっていうか…、そんな感じで、私は太陽くんのことが好きになったんだ。」
「うんうん!それでそれで?
今、太陽くんはどうしてるの?!」
「……実は太陽くん、高2の冬に死んじゃったんだ…。」
「え……。」
「マジかよ…。」
私の発言に、みんな驚きを隠せない様子だった。
「うん…。太陽くんが死んじゃった時、これからどうやって生きていったらいいか、…正直分からなかった…。
悲しくて、胸が張り裂けそうで、辛かった…。」
「……。」
「でも、太陽くんが『もしオレが死んじまったら、太陽を見て元気だせっ!お前のこと見守ってるから。だから泣くな!』って、勇気づけられて。」