第3章 season
「ねね、秋ちゃんは?」
「…お、オレ?」
「うん、なんでミュージシャンになりたいの?」
私の迎え側にいる秋ちゃんに聞いた。
秋ちゃんは、コーヒーをスプーンでかき混ぜながら言った。
「オレは…、ただベースが好きだから…。」
「だから、ミュージシャンになりたいの?」
私の言葉に、こくんと頷く秋ちゃん。
秋ちゃんは、音楽のことに関してはあんなに熱心に話すのに、普段話す時は少し恥ずかしそうな様子だ。
たぶん、会ったばかりの私にまだ慣れなくて、緊張しているのだろう。
「ベースって、低い音でずっしりしてて、私好きだな!」
私の言葉に秋ちゃんは、優しく微笑んで
「うん、オレも好きだ。」
と言った。
そこに雪ちゃんが話にはまってきた。
「オレは断っ然、ドラムだなー!
ベースなんて、目立たないからつまんねーじゃん!
ドラムは色んな音でるし、ガンガン鳴らせるから好きっ!」
ニッと歯を出して笑う雪ちゃん。
そこに、晴花と秋ちゃんの言葉の攻撃がいく。
「ゆっきー、ベースがあるからウチらがまとまってるみたいなもんだよ?
ゆっきー、いつも走り気味だからさ。」
「ゔっ…。」
「晴ちゃんのいう通りだよ。ゆっきーはもう少し、みんなに合わせてよね!」
「ゔっ……、分かりました…。」
「「分かればよしっ!!(笑)」」
2人は腕組みをしてそう言った。