第9章 「SBK」~決勝戦~
(あの子は、かのんちゃん!来てくれてたのか。)
かのんちゃんは、私達に聞こえるように大きな声で
「ひまおねえちゃーん、がんばれ~!
あっ、あとおっきいおにいちゃんと、ちっちゃいおにいちゃんもがんばって~!」
と言った。
「ち、ちっちゃくないやい!」
「まぁまぁ、ゆっきー。」
(ありがとう…、かのんちゃん…。)
少し、心が軽くなった気がした。
すると、
「秋人ーーっ!」
「?!その声は父さん?」
秋ちゃんの家族と、その近所の人達も来ていた。
「見に来てみれば、なんだその諦めたような面は!
なんて顔してんだ!
そんなんで、お前はミュージシャンを目指していたのか?
本当になりたいものなら、どんな状況でもお前の本気を見せてみろ!
話はそれからだ!!」
「父さん…、うん!ありがとう。」
「なんか、あっきーのお父さんには、いつも怒られてばかりだな(笑)」
そう言って、雪ちゃんが少し微笑む。