第9章 「SBK」~決勝戦~
「ねぇ、あのボーカルの子。何で声出ないの?」
「どうしたんだろう…?」
「緊張で声、出なくなったんじゃないの?」
「かわいそうー。もう、あのグループ優勝はないね…。」
ざわざわ…
「……っ…!」
(なんで…、なんでよ!なんで、声が出ないの…?)
色んなところから聞こえてくる言葉と、自分の声が出ないもどかしさに、心が折れそうになる。
私は下唇を噛み締め、悔しがった。
「ひまちゃん…。」
「ひま…。」
秋ちゃんと雪ちゃんが、心配そうに私を見つめる。
(私のせいだ…私のせいだ…。)
全てを諦めかけた時、
「おねえちゃーん!ひまおねえちゃーん!」
私を呼ぶ声が聞こえた。
(この声は…?)
私は、声が聞こえる方向に視線を向ける。