第9章 「SBK」~決勝戦~
舞台裏に着いて楽器の準備をしていると、Rainのみんなが終わって戻ってきた。
「ふぅ~、終わったー。」
「カイル、おつかれ!」
タオルで汗を拭きながら、言葉を交わすカイルくん達。
カイルくんは私を見るなり、ニヤリと笑って
「ひまわりちゃん、声が出ないんだってね。」
と言った。
(!?)
「な、なんでそれを?!」
私達は驚く。
「その反応なら、本当みたいだね。
声出ないなんて、seasonも終わったみたいなもんだね。」
(……。な、何も言い返せない…。)
「な、なんだとテメー!!」
「ゆっきー、やめろって!」
殴りかかろうとする雪ちゃんを、秋ちゃんは肩を抑えて止める。
「まぁ、せいぜい頑張ったら?んじゃね~。」
カイルくんは顔色ひとつも変えずに、その場を立ち去った。
「んだよ…、アイツ。どんな思いで今までオレ達、練習してきたかも知らないくせに。」
「気にしないで?ひまちゃん。」
『うん…。』
秋ちゃんは、気にしないでと言ってくれたが、カイルくんの言葉が頭から離れない…。
(声が出なかったら…どうしよう……。)
不安で今にも押しつぶされそうになる。
そんな時、MCの声が聞こえて
MC《それでは、seasonの皆さんに登場してもらいましょう!…どうぞっ!!》
私達はステージへと上がった。