第8章 雨の日
《ひ、ひま…、どうしよう……!》
「え?雪ちゃん?!」
電話越しに聞こえる雪ちゃんの声は、いつもの雪ちゃんじゃなく、様子が少し変だった。
《…ひっく……っ…っく…。》
「ちょ、雪ちゃん泣いてるの?」
「どうした?」
秋ちゃんにも聞こえるように、スピーカーにする。
《どうしよう…。は、晴花が…、晴花が……交通事故で…。トラックにはねられた…!》
「え……?」
ドクンッ…
《…晴花が死んだら、どうしよう……!》
(晴花が交通事故に…?)
私は突然の出来事に受け入れることができず、思考回路が停止する。
「…ゆっきー!オレ達もすぐ向かうから、ゆっきーは先に病院に向かってくれ!!」
《う、うん…。分かった。》
ここで雪ちゃんと電話を切った。
「ひまちゃん、早く病院に行こう!」
秋ちゃんが大急ぎで、支度をしながら言う。
「う、うん…。」
私は今の状況を理解できぬまま、準備を終わらせて秋ちゃんと病院へ向かった。