第8章 雨の日
「やーん、可愛い~~っ!!」
気がつけば私は、その女の子を抱きしめていた。
「ぎゅー!かのん、ぎゅーするのだいすき~♪」
「私も大好き~!」
「見知らぬ子に、ひまは何やってんだか…(笑)」
雪ちゃんは私を見て、苦笑している。
「ま、いいんじゃない?ひまちゃん、楽しそうだし。」
「んー、ま、いいっか。(笑)」
すると、一人の女の人がやってきて
「すみません、休憩中でしたのにウチの子が邪魔してしまって…。」
「いえいえ、全然大丈夫です。」
「かのん、勝手にいなくなってダメでしょ?」
「はーい、ごめんなさい…ママ。」
かのんちゃんはそう言うと、お母さんのところに駆け寄る。
すると、お母さんはかのんちゃんの頭をなでながら、話し始めた。
「この子、すごくseasonの歌が大好きで、いつも口ずさんでいるんです。」
「へぇ~、そうだったんですか!」
「はい、もう少しで決勝戦ですよね?頑張って下さいね!応援してます!」
(私達を応援してくれてる人がいるんだ…!
よーしっ!)
「ありがとうございます!」
「ひまおねえちゃんと、
もうひとりのおねえちゃんと、
おっきいおにいちゃんと、
ちっちゃいおにいちゃんも、がんばってー!」
「ち…、ちっちゃいは余計だ!」
「まぁまぁ、ゆっきー。そう怒らずに…。」
秋ちゃんが雪ちゃんをなだめる。
「ありがとう!かのんちゃん、おねえちゃんたち頑張るね!」
「うん!んじゃ、バイバーイ!」
「「バイバーイ!」」
私達はかのんちゃんと、そのお母さんを見送り演奏を再開した。