第7章 「SBK」~二次審査~
「これ…野菜、生だよ…。」
「ちょっと、ちゃんと煮込んでないでしょ!
私が作り直すから、座ってて!」
「え?あ、はい…。すみません…。」
オレと姉貴に散々言われ、しゅん…となる父さん。
その姿が面白くて、
「ふ、ふははは…。あははは!」
オレは思わず笑ってしまった。
(はっ、いっけねー。笑っちゃった。)
オレは、はっとして口を塞いだ。
が、父さんもつられて
「あははは~!」
と笑っていた。
「!!」
(オレ、父さんの笑った顔、初めて見たかも…。)
「ちょっとー、笑い事じゃないわよー!
特にお父さーん?食べたらお腹こわしちゃうところだったんだから!」
と、カレーを作り直している姉貴が言った。
「ははは!すまん、すまん!
いやー、やっぱり料理はいきなりするもんじゃないな。」
そう言って、頭をかく父さん。
「こんなんだから、アイツが出て行ったんだな…。」
「え?」
「あ、いや、なんでもない。」
父さんは自分にしか聞こえない声で呟いた。
「はいはーい、カレーできたよ~。」
そう言って、姉貴はカレーを持ってきた。
「ありがとう。」
「ごめんな、冬花。ありがとう。」
「いえいえ!…っていうか、2人とも自然に話せるようになってんじゃん!」
「「えっ?!」」
姉貴に言われるまで気づかなかったけれど、普通に父さんと話している。
「良かったね、仲直りできてっ!」
そう言って、ニッと歯を出して笑う姉貴。