第10章 貴女の事
「私は、ただ、痛いのと怖いので泣く事しか出来なくて、一晩祭壇の前で泣いていたの。朝方、母が私を連れて村から逃げたの。私達は、取り敢えず母の実家に逃げて、事情を話して、東京に逃げてきたの。村の中の事しか知らなかった私は、自分の容姿が異常なのをすぐに認識したの…大きな病院で検査を受けて、私が真っ白なのは、色素の病気だってすぐ分かって、自分は、神さまなんかじゃなくて、人間だったんだって、凄く安心したの。
その後は、学校にも通って、高校も大学もちゃんと出て、医学を学んだんだけど、1人で生活する為に私は、あのアパートに引っ越したの。
当時はあいつのお祖父さんが大家さんだったの。私が29歳ぐらいの時に、初めてあいつにあって、まだ高校生なりたてぐらいだったかな?親の都合でお祖父さんが暫く面倒を見ることになったらしくて、ちょこちょこ会う事は、あっても話なんてした事なかった…
30を過ぎた秋ぐらいに、私はあいつに殺された…殺された理由も分からなくて、只々刺されて意識が遠くなって気がついたら、あそこで地縛霊みたいになってた…」
私達はあさひの話を聞き終わり、
「とにかく、あさひさんの事をもう少し詳しく調べる必要がありますね。出身はどこになりますか?」
「はい!私がいた村は…」
あさひの出身地から、その土地に纏わる神様や宗教などを調べ出した。