第10章 貴女の事
「行っちゃった。」
「あの人が白澤様?すけこましって聞いたんだけど、そんな感じしなかったような…」
「あさひさん、あれが帰ってきたら大変ですよ…生粋の女たらしですから。」
私達が雑談をしてると、
「ちわ〜白澤さ〜ん、頼まれてた物持ってきやしたぜ〜。」
戸の方から男性の声がして、みんな一斉にそちらを見た。
「あれ?白澤さんいないんか?」
男の人がお店の中をキョロキョロ見渡してるとこちらに気付き、目を見開いて固まった。
「…何かこっち見て固まってるんだけど、桃太郎あの人お客さん?」
「あの人は、天国で雑貨店を営んでる龍寿(たつひさ)って言うんだ。白澤様に用事かな?」
桃太郎は、腰を上げ龍寿に近づいて声をかけた。
「おーい、龍寿ーどうした?おーい!」
目の前で手を振りながら声をかけると、我に戻ったのか、
「桃太郎これ!」
と、荷物を桃太郎に渡し、私達の前にきて、
「俺、龍寿って言います!貴女の名前聞いても良いですか!」
と、膝をついてあさひに話しかけた。
「えっ⁈私⁈あさひと申します…」
「あさひさん、素敵な名前ですね!初対面でこんな事言うのおかしいですが、俺と結婚を前提にお付き合いして下さい‼︎」
「「えーー‼︎」」