第8章 再会
次の日、あさひの様子を見に行くと渡していた霊でも触れる筆記用具が床に散らばり辺りは紙が山のように散らかっていた。
「いくら人間に見えないと言ってもこれは、凄いですね。」
落ちている紙を1枚拾い見てみると、所狭しと字や、薬草の絵が書かれていた。
(今は、辛いと思います。頑張ってくださいあさひさん…)
こちらに全く気付かないあさひを横目に鬼灯は、地獄に戻った。
そしてあの事件が起こっていた。
約束の日。鬼灯は、あさひを連れて夢影乃薬(ゆめかげのくすり)屋に足を運んだ。
「おや、本当に来たのかい?あんたも随分頑固な小童だねぇ。」
「今日は。私は、彼女なら出来ると信じていますので。」
「ふん。あんたがあさひかい?」
「ハイ。初メマシテ、本日ハ、オ時間ヲ作ッテ下サリ有難ウ御座イマス。」
「怨霊でも礼儀は、弁えているようだね。その姿じゃうちの店には入らないよ。これを飲みな。」
鈴奏に手渡された小瓶の液体を、あさひは、少しためらったが飲み干した。