第6章 【世にも淫猥な御伽草子】桃太郎ver.
美依鬼が起きるのを待ち、すっかり媚薬が身体から抜けた様子の美依鬼に真摯に問いかけます。
『純な早漏、でも心は優しい』幸村桃太郎か。
『毒を食らわば皿まで、テクニック重視』政宗桃太郎か……
が、顔を赤く染め、美依鬼から出た答えは、六人にも意外なものとなりました。
「心と身体では、違う…かな」
「どーゆー意味だ、美依?」
「ええとね、心では幸村の方が満たされたと言うか、幸せだったと言うか……でも、身体だけの相性を考えるとね」
「つまり、身体のみならば、政宗桃太郎様の方が上だったと。心は幸村桃太郎様の方が悦びを感じ、身体の悦ならば政宗桃太郎様…と言う意味でしょうか」
尻尾をパタパタさせながら解説する三成犬に、美依鬼はさらに真っ赤になって頷きます。
それを聞いて脱力したのは政宗、幸村、両桃太郎だけではありません。
秀吉猿も三成犬も家康キジも獣人佐助も『だあぁ……』とため息をついて、脱力しました。
「結局は勝負はつかなかったって事じゃないですか。この場合、どっちが勝ちとは言えないでしょ」
「確かに、心も身体も両方の感覚が重要です…家康さん、さすが」
「結局美依は喰われ損か?信長様みたいに……←」
「いいや、まだ勝負はこれからだ」
すると、政宗桃太郎は幸村桃太郎の胸ぐらをぐいっと掴み、好戦的な眼差しを向けながら言いました。
「今度こそ、美依の心も手に入れる。身体の相性なら勝ってんだ、心を奪い取れば…俺の勝ちだ」
「なっ…負けねーよ!今度こそ身体でも美依を満足させてやる、手腕を磨けば俺の勝ちだ」
「やるか、てめぇ!」
「上等だ、こらぁ!」
二人は掴み合い、お互いに火花を散らします。
そんな二人を見て……
秀吉猿、三成犬、家康キジ、獣人佐助、そして美依鬼も。
呆れたように顔を見合わせ苦笑しました。
「もうやらせとけ、面倒くさい」
「秀吉さん、膝ありがとう。みんなでお茶飲む?」
「いいですね、私が淹れますね!」
「三成、やめとけ。茶葉が無駄になる」
「家康さんのさり気ない優しさが素敵です」
のほほんとお茶を始めた五人。
これから巻き起こる嵐はともかく……
とりあえずはひと段落、なのかな?