第6章 【世にも淫猥な御伽草子】桃太郎ver.
「か、関係ねーだろ!」
「関係ある、美依を嫁にするのは俺だ。敵はほっとけねぇ」
「嫁ってあのなー!美依の意思はどうなんだよ!」
「んっ……!」
二人で言い合っていた時でした。
なにやら色っぽい声が聞こえ、二人してそっちを見ると……
美依が壁に沿って、ずるっと脱力し、座り込みました。
その様子を見て、政宗桃太郎がすぐにしゃがみ込み、俯いた美依鬼の顎に手を掛け、上に向かせます。
すると、上を向いた美依の表情を見て……
二人はごくっと、唾を飲み込みました。
「美依……!」
「ふっ…どうやら食わせたきびだんごが効いたみたいだな」
「まさか、噂の媚薬入りきびだんご……!」
「解ってるなら、話は早いな」
美依鬼は瞳を潤ませ、頬を真っ赤にさせ……
半開きの唇からは、絶え間なく艶かしい吐息が漏れていました。
その、女の色香を放った、艶っぽい顔。
媚薬のせいとは言え、そんな表情に男なら何も感じないはずがありません。
身体の芯からゾクゾクと疼いてきたところで……
政宗桃太郎が挑発的に、幸村桃太郎に言いました。
「勝負するか、幸村桃太郎?美依を賭けて」
「勝負?」
「ああ、美依をより気持ち良くさせた方が勝ちだ」
「な、なんだよ、その勝負は!冗談じゃねー!」
「媚薬を身体から抜く方法は一つしかない。体内で解毒するまで、誰かに身体の渇きを潤してもらうしか。そうしないと、強烈な疼きに耐える事になる。そんな状態の美依を放っとくのか、男じゃねぇな」
政宗桃太郎の言葉に、幸村桃太郎はぐっと息を飲みました。
美依が辛いのは嫌だ。
なら…媚薬が抜けるまで、快楽を与えるしかない。
それしか方法がないのなら……と。
幸村桃太郎は政宗桃太郎に言葉を返しました。
「いいだろう、その勝負、受けてやる」
「幸村、君にやれるの?」
「佐助、俺は美依が好きだ。こんな美依は放っとけない、他の男に取られるなんて、それこそ冗談じゃねー」
「決まったな。おい、秀吉、三成、家康!」
政宗桃太郎は立ち上がると、今までほっといた三人に声をかけました。
……本当に影が薄いよね、俺達←