第6章 【世にも淫猥な御伽草子】桃太郎ver.
「え、佐助君はまきびし入りきびだんごに惹かれたの?」
「こいつ、阿呆だからな」
「幸村、阿呆って酷いな。まきびしの魅力は底知れない。だって……」
「ああもう、説明するな。ここまでの道中で耳にタコなんだよ!」
「ふふっ、仲良いんだね、二人とも」
四人は目を見張ります。
可愛らしい鬼と、獣人と、人間の男が一人。
それは間違いなく、噂の美依鬼と、これまた噂の幸村桃太郎と獣人佐助、その人達だったからです。
……まったく美依は相変わらずだな(笑)
自分の空気に取り込んで、仲良くしたって感じか←
四人は呆気に取られていましたが……
一番最初に正気を取り戻し、声を上げたのは政宗桃太郎でした。
「おいおい、なんなんだお前ら!」
「え?」
「だ、誰なの?!」
「あ、貴方達はもしかして、政宗桃太郎御一行?」
政宗桃太郎の声に、三人は振り返りますが、獣人佐助の言葉に、一気に空気が張り詰めます。
破天荒で快楽主義者の政宗桃太郎。
それは幸村桃太郎や獣人佐助だけでなく、美依鬼の耳にも噂は届いていたからです。
「ま、政宗桃太郎って、私を倒しに来るって噂の…?そんなみすみす殺されてたまりますか、覚悟っ!!」
美依鬼は眉を釣り上げ、立ち上がると小さなこん棒を持ち、それを政宗桃太郎に向けて構えました。
……おいおい、なんだその可愛い行動は←
そんな美依鬼の行動に、何もしない政宗桃太郎ではありません。
そのまま素早く近づくと、華麗な動きでこん棒を奪い取り……
そのまま腕を掴んで、壁に身体を押し付けたのです。
「自ら戦おうとする勇ましい女は嫌いじゃない」
「ちょっと、離して……」
「嫌だ、って言ったらどうする?」
「……っ」
「肩も胸元も丸出しで、腹も脚も晒して……こんな格好で誘っといて、責任取らない訳じゃないよな?」
頭の上で手首を片手でまとめ上げ、空いた手ですーっと剥き出しの太ももを撫で上げる政宗桃太郎。
その時、美依鬼が肌の熱を微かに上げたのを見逃す男ではありません。
ニヤリと狡猾に笑い…ぺろりと舌なめずりをしました。
……まずい、この政宗は本気だ!
美依、逃げろ、政宗に喰われるぞぉぉぉ!!(絶叫)